オンラインで絵本を購入できる今、世界中の絵本を気軽に手に入れることができますよね。
私は幼い頃アメリカに住んでいたり、子供が生まれる前はよく世界を旅して、その国の絵本を買って帰ってくるのが趣味の一つでした。
そんな私はよく「海外のおすすめの人気絵本ない?」「子供に海外の本に触れさせたいんだけど・・」と聞かれます。
海外の絵本に求めるものはみんな違うので、毎回ヒアリングをしてからご紹介していますが、今回は「日本でも他の国でもおんなじなんだ!」と共感してしまう一冊をご紹介します。
絵本『すいかのたね』が大人気のワケは、愉快で可笑しいワニのワチャワチャっぷり。
今回は邦訳も魅力的な絵本『すいかのたね』の日本語版をご紹介します。
アメリカの大人気絵本『すいかのたね』あらすじのご紹介
アメリカの大人気絵本『すいかのたね』(原題:The Watermelon Seed)。
早速、この人気絵本『すいかのたね』がどんな絵本なのか、あらすじをご紹介します。
『すいかのたね』主人公はワニ
この物語にでてくるのは、たった一匹のワニ。
その他に登場人物(動物?)はいません。
赤ちゃんワニの頃からスイカが大好きすぎて、スイカが一番!なワニの多彩な表情にどっぷりとハマってしまいます。
『すいかのたね』ストーリー
朝、昼、晩ごはんにすいか、もちろんデザートにもすいか!
すいかが大、大、大好きなワニが、うっかり種をのみこんでしまって……!?
小さい子どもが一度は想像しそうなことを、ユーモアたっぷりに描きます。
引用元:こぐま社
「すいかのたねを飲み込んだら、おへそから生えてくるよ!」とか、皆さん親から言われたことってないですか?
たねを飲み込んでしまったワニの目眩く妄想の世界に、「どの国でも、子どもに同じように話すんだ〜」とほのぼの、世界の近さを感じてしまうお話です。
ただ、ワニが宝物のように抱えるスイカは、日本ではあまり見かけない”楕円”なので、そんなところも子どもと盛り上がる食育ポイントですね。
アメリカの大人気絵本『すいかのたね』の3つのおすすめポイント
絵本『すいかのたね』をおすすめしたいポイントを3つご紹介します。
『すいかのたね』ワニの喜怒哀楽に共感!
スイカがどれだけ好きなのか、嬉しそうに得意げに話すワニ。
たねを思わず飲み込んじゃった時の、真顔なワニ。
たねがこれからどうなっていくのか、焦りまくるワニ。
シンプルなイラストながら、その表情が豊かに伝わってくる、喜怒哀楽を一冊の本で一気に楽しめるのが、この本の魅力の一つです。
読み聞かせをすると我が子も、一緒になって「ウキウキ」したり、「あー!」と驚いたり、「ハラハラ」したり。
一緒になってくるくると表情を変えるので、読んでいるこっちまで楽しくなります。
『すいかのたね』インテリアになるほどの可愛いイラスト
この絵本を再現するのに、版元のこぐま社もとても力を入れたと言われています。
それほどまでに美しい、あか、みどり、くろ。
そう、この絵本は、スイカにある3色の色のみを特色インクを使って描かれているんです。
少しだけでてくる茶色も、丁寧にあかとみどりの版を重ねて作られている徹底ぶりで、わざとインクをかすれさせたり、線からはみ出していたりと、こだわりの仕上がりになっています。
表紙をめくるとまず最初にでてくる「一面のすいか!」に我が子は「いっぱい!!」と喜ぶほどで、一冊まるまる「すいか」を楽しめる美しい絵本です。
ちなみに、輸入ものの絵本って日本語フォントがどうも合っていなくて残念な仕上がりのものもありますが、「すいかのたね」はフォントにもこだわっていて、そんなところも満足度の高い絵本です。
『すいかのたね』テンポのいい言葉はこび
子供が産まれ、読み聞かせをするようになって、一番気になるようになったのは「絵本のリズム」です。
原作ではとってもリズムがいいのに、邦訳になるとやっぱり少し違うな、という絵本もあるのですが、この「すいかのたね」は原書も邦訳もリズム感が見事!
ちなみにこの作品、中国語や韓国語にも翻訳されているそう。
日本語版ですいかを食べる音は「シャリシャリ」ですが、原書では「CHOMP! CHOMP!(チャーンチャーン!)」。
他の言語で絵本がどう展開されているのか、そんなことを子供と一緒に考えるのも、とってもいい時間です。
ちなみに原書『The Watermelon Seed』の英語はとっても簡単で読みやすいので、原書版を持ってみるのもおすすめです!
こちらは、原書の公式告知映像です、可愛いので、ぜひご覧ください!(すいかにお塩をかけるシーンも登場していて、アメリカでもそうなんだ!!とこれまた共感)
原作も、もちろんおすすめ!
文字フォントが可愛い絵本ってポイント高いですよね。
アメリカの大人気絵本『すいかのたね』作者と受賞歴
アメリカで大人気!とご紹介していますが、実際に作者とこの絵本の受賞歴について、少しご紹介しておきますね。
『すいかのたね』作者 グレッグ・ピゾーリって誰?
絵本作家であり、イラストレーターでもあるグレッグ・ピゾーリさんは、アメリカのフィラデルフィア芸術大学で修士号を取得。
そこで7年間にわたり、シルクスクリーンという印刷技法専門の教授をしていました。
絵本『すいかのたね』の目を引くイラストの表現は、彼の専門性からこだわったものだったというのは納得ですね。
絵本『すいかのたね』はデビュー作、その他、日本語に翻訳されている絵本に『はずかしがりやのきょうりゅう クランチ–あいさつのえほん』(シロッコ・ダンラップ作、早川書房)があります。
ちなみに、手前の細身でメガネの男性がグレッグさん。
『すいかのたね』の国内外受賞歴
絵本『すいかのたね』は、2014年度セオドア・スース・ガイゼル賞(ドクター・スース賞)を受賞しています。
セオドア・スース・ガイゼル賞(Theodor Seuss Geisel Award)
前年にアメリカで出版された、すぐれた児童書に贈られる児童文学賞。アメリカ図書館協会(ALA: American Library Association)のALSC(Association for Library Service to Children)が運営しており、2006年から賞の授与が始まりました。賞の名前に含まれるセオドア・スース・ガイゼルは、アメリカの絵本作家、イラストレーターで、生前、ドクター・スース(Dr.Seuss。1904~1991)のペンネームを使っていたことから、この賞はドクター・スース賞とも呼ばれています。
また、第14回MOE絵本屋さん大賞の総合部門にも入賞していますので、アメリカでも日本でも、その作品性には定評があります。
アメリカの大人気絵本『すいかのたね』愉快で可笑しいワニに共感 まとめ
万国共通で持つ子供ならではの愉快な妄想を、ワニの豊かな表情を通して表現したアメリカの大人気絵本『すいかのたね』。
今回はそんな大人気絵本『すいかのたね』のストーリーや魅力に迫ってご紹介しました。
飾っておくだけでインテリアとしても美しいイラストも、おすすめポイントの一つ。
さわやかで、みずみずしくて、シンプルなのに何度も繰り返し読みたくなる作品。
海を渡った先のアメリカでも、同じことを感じながら読み聞かせをしている親子がいるのかなと思うと、なんだかステキなことですよね。
書名:すいかのたね
作・絵:グレッグ・ピゾーリ
訳:みやさかひろみ
定価:¥1,210(税込)
サイズ:24×19cm
ページ数:32ページ
発売日:2021年6月(2013年アメリカ発刊)
出版社:こぐま社