力強いタッチなのに、なぜか脱力させられるようなゆるい表情。
ただただ何気ない日常の話なのに、子供の時の純粋なワクワク感をズバッと捉えたストーリー。
絵本「でんしゃくるかな?」は1歳の我が子の心をとらえて離しません。
今回は絵本「でんしゃくるかな?」のあらすじや、作者きくちちきさんの魅力に迫ります。
きくちちき作 絵本『でんしゃくるかな?』あらすじ
早速「でんしゃくるかな?」はどんなストーリーなのか、ご紹介してきますね。
絵本「でんしゃくるかな?」登場する動物たち
絵本「でんしゃくるかな?」に出てくるのは、「男の子」「ライオン」「ぞう」「かば」「キリン」「リス」の6人。
ゆるい笑顔で並んでいる姿に、理由なく心惹かれてしまい、本屋さんで思わず手に取ってしまいました。
ライオンより大きなゾウ。
全員二足歩行。
作家きくちちきさんの独特な表現や世界観は、後程たっぷりご紹介しますね。
絵本「でんしゃくるかな?」あらすじ
「くるかな? くるかな?」動物たちが電車を待っていると、「きたー!」ホームに滑りこんできた電車にみんな大喜び。動物たちは「くるかな? また くるかな?」と次の電車を待ちます。「きた きた-!」やってきた電車にまた大喜び。最後にやってきた電車に、みんなで「のりまーす のりまーす」。電車がくる喜びを動物たちと分かちあう絵本です。
-福音館
ただただ電車が来るのを待ち、来たら見送る、その繰り返しなんですが、「くるかな?」の時のたまらないワクワク感、来た時の「高揚感」そして、見送る時の次への「期待感」。
大人になるとすっかりなくなってしまったそんな小さな喜びをピュアに描いています。
ページをめくるたびにどんどんワクワクが広がって、男の子もライオンもキリンも一緒にワクワクし出して・・・尻上がりに盛り上がるので、読んでいて爽快な一冊です。
絵本の中が気になる方は、「きたー!」のページを絵本ナビで無料ためしよみすることができますので、ぜひご覧ください!
きくちちき作 絵本『でんしゃくるかな?』対象年齢と評判レビュー
絵本「でんしゃくるかな?」は「子供がハマった」という声を多く聞く絵本です。
ここで、この絵本「でんしゃくるかな?」は何歳からおすすめなのか、SNSでの評判も踏まえてご紹介します。
絵本「でんしゃくるかな?」対象年齢は0さいから
出版社である福音館の公式では、対象年齢は0さいからとなっています。
対象年齢はその子供の性格や、好みなどにもよるのであってないようなもの、と私は思っていますが、この絵本「でんしゃくるかな?」は我が家でも0さいからハマりました。
背景などないシンプルな表現、同じやりとりが繰り返されるわかりやすさがポイント。
0さいでも、目を細めて、肩を上げて、絵本の登場人物と一緒に「ワクワク」しているのが、全身から伝わってきます。
絵本「でんしゃくるかな?」SNSでの評判
絵本「でんしゃくるかな?」は、「子供が本屋さんで自分で選んだ」「一緒になって、くるかな?きたー!ってはしゃいでる」と子供自身がはまっているとコメントするママが続出しています。
まだ読んだことのない方は、ぜひお子さんの「ワクワク」顔、一緒に楽しんでみてください。
きくちちき作 絵本『でんしゃくるかな?』作者のきくちちきさんがすごい
こんな子供の「ワクワク」を引き出せる作家きくちちきさんって一体どんな人なんでしょう?
「きくちちき」と聞くと女性のようですが、実は男性で、ご自身にもお子さんがいます。
絵本「でんしゃくるかな?」作者きくちちきプロフィール
1975年生まれ、北海道出身の絵本作家きくちちきさん。
建築の勉強をされた後、グラフィックデザイナーを経て、2008年から自ら手製絵本を作り始め、個展で発表した絵本が評判を呼び、2012年に『しろねこくろねこ』(学研プラス)で作家デビュー。
この『しろねこくろねこ』が発売の1年後には世界的な絵本原画コンクール「第24回ブラティスラヴァ世界絵本原画展」で「金のりんご賞」を受賞し、瞬く間に人気作家への階段を駆け上りました。
ブラティスラヴァ世界絵本原画展
1967年に創設された国際的な絵本原画の展覧会。スロバキアの首都・ブラティスラヴァで開催される。『スイミー』のレオ・レオニをはじめ、名だたる作家が受賞してきた歴史あるコンクールで、第一回のグランプリは画家・絵本作家の瀬川康男氏が受賞した。
現在は一児の親でもあるきくちちきさんは、お子さんが生まれてから自分の好きに自由に絵本を作るだけではなく、『どういうふうに読んでくれるんだろう』『こういうのが好きかな』という考えもするようになったそうです。
子供が本当に小さなことですごく喜んで、きらきら輝くその姿に刺激を受けて、作られた作品だからこそ、多くの子どもたちの心の琴線に触れるのですね。
絵本「でんしゃくるかな?」作者きくちちきさんの描き方
きくちちきさんは、スタンディングのまま絵を描くそうです。
沢山の絵の具と筆を並べ、立ったまま描かれる絵だから、他ではあまりみられない自由奔放な線や、筆圧からくる躍動感が感じられるのかもしれません。
自身の絵本だけでなく、書籍の表紙も手掛けるなど、画家としても広く活動されるほど、その独特な表現は魅力溢れています。
ライブペインティングのイベントなどもされているそうで、一度行ってみたいものです。
絵本「でんしゃくるかな?」作者きくちちき 受賞作
きくちちきさんの絵本は、先ほどご紹介した『しろねこくろねこ』以外にも、世界各国で名だたる賞を受賞しています。
残念ながら「でんしゃくるかな?」はまだのようですが、その他の受賞作をここで少しご紹介しますね。
『もみじのてがみ』:ブラティスラヴァ世界絵本原画展の金牌受賞
まっ赤な「もみじのてがみ」を受け取ったねずみが、りすやひよどりといっしょに紅葉探しに出かける絵本。
秋の景色に入り込んだような錯覚を覚えるこの作品は、最後のページがまた圧巻です。
お子さんと一緒にこの絵本を手に、公園散策をするのがおすすめです。
『しろとくろ』:産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞
犬の「くろ」が、夜をとおして猫の「しろ」に思いをつのらせる愛にあふれる一作。
デビュー作から7年の時を経て、再び「あいたいきもち、あえないきもち」を描いています。
『いろいろかえる』:ミュンヘン国際児童図書館「ホワイト・レイブンズ2022」
食べるのが好きな緑色のかえる、跳ねるのが好きな黄色のかえる・・・ユーモラスなかえるたちが登場するごとに、大判の絵本に色が足される、色彩豊かな作品です。
かえるたちの躍動感あふれるポーズがなんとも愛らしく、部屋に飾っておくのもおすすめな一冊は、ミュンヘン国際児童図書館が刊行する国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ2022」に選ばれました。
きくちちき作 絵本『でんしゃくるかな?』子供がハマるワクワクの連鎖 まとめ
本記事では作家きくちちきさんが描く絵本『でんしゃくるかな?』のあらすじや作家自身の魅力をご紹介してきました。
発売以来SNSでも話題の絵本『でんしゃくるかな?』がどうしてこんなに子供にハマるのか、その理由は、「心地よいリズム」で繰り返される電車が来る、という日常のワンシーンと、それを待ち望む、躍動感あふれる登場人物(動物)たちの魅力的な絵です。
我が子は、この本に出会って以来、電車を見れば「バイバーイ」と手を振り、電車のホームに行くと「くるかな?くるかな?」と私と一緒にワクワクしています。
そんな小さな日常すら、一緒にワクワク楽しめるきっかけを作ってくれた一冊でした。
書名:でんしゃくるかな?
作・絵:きくちちき
定価:¥880(税込)
サイズ:21cm × 2-cm
ページ数:20ページ
発売日:2021年02月05日
出版社:福音館書店